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大阪地方裁判所 平成2年(行ウ)78号 判決

第六九号事件原告

金正圭

第七〇号事件原告

金胎一

第七一号事件原告

朴英美

第七二号事件原告

金旲炫

第七三号事件原告

朴正浩

第七四号事件原告

高和彦

第七五号事件原告

李政根

第七六号事件原告

黄正根

第七七号事件原告

高在炳

第七八号事件原告

金炯守

第七九号事件原告

夫承一

右一一名訴訟代理人弁護士

相馬達雄

平木純二郎

能瀬敏文

第六九号、第七二号、第七四号、第七六号事件被告

大阪市北区選挙管理委員会

右代表者委員長

柴垣博宣

第七〇号、第七一号、第七五号事件被告

大阪市生野区選挙管理委員会

右代表者委員長

中村豊治郎

第七三号事件被告

大阪市鶴見区選挙管理委員会

右代表者委員長

中村善長

第七七号、第七九号事件被告

大阪市東淀川区選挙管理委員会

右代表者委員長

西野太作

第七八号事件被告

大阪市西淀川区選挙管理委員会

右代表者委員長

矢谷澄

右五名指定代理人

山口芳子

外五名

右第六九号、第七二号、第七四号、第七六号事件被告指定代理人

池田勝

右第七〇号、第七一号、第七五号事件指定代理人

長岡俊輝

右第七三号事件被告指定代理人

島田守

右第七七号、第七九号事件被告指定代理人

倉橋克行

右第七八号事件被告指定代理人

田中義昭

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実及び理由

第一請求

一第六九号事件

同事件被告がなした別紙決定目録一記載の決定を取り消す。

二第七〇号事件

同事件被告がなした別紙決定目録二記載の決定を取り消す。

三第七一号事件

同事件被告がなした別紙決定目録三記載の決定を取り消す。

四第七二号事件

同事件被告がなした別紙決定目録四記載の決定を取り消す。

五第七三号事件

同事件被告がなした別紙決定目録五記載の決定を取り消す。

六第七四号事件

同事件被告がなした別紙決定目録六記載の決定を取り消す。

七第七五号事件

同事件被告がなした別紙決定目録七記載の決定を取り消す。

八第七六号事件

同事件被告がなした別紙決定目録八記載の決定を取り消す。

九第七七号事件

同事件被告がなした別紙決定目録九記載の決定を取り消す。

一〇第七八号事件

同事件被告がなした別紙決定目録一〇記載の決定を取り消す。

一一第七九号事件

同事件被告がなした別紙決定目録一一記載の決定を取り消す。

第二事案の概要

一争いのない事実

1  原告らは、いずれも、国籍を韓国とするものである。

2  原告らは、平成二年九月一日当時、大阪市内の前記肩書地(ただし、第七二号事件原告は、大阪市〈番地略〉)に居住していた。

3  原告らは、いずれも、平成二年九月二日登録の選挙人名簿に登録されていなかったので、選挙人名簿の縦覧期間内に、それぞれ各事件の被告らに対し、原告らを選挙人名簿に登録するよう異議の申出をした。これに対し、被告らは、別紙決定目録一ないし一一記載のとおり異議の申出を却下する決定(以下「本件各決定」という。)をした。

二本件は、原告らが本件各決定の取消しを求めているもので、平成二年九月一四日、訴えが提起された。

三争点

(本案前)

1 原告らに、本件訴訟の原告適格があるか。

被告らは、(一)公職選挙法二五条に規定する選挙人名簿の登録に関する訴訟は、同法二四条二項の規定による決定に不服がある異議申出人又は関係人に限り提起することができる、(二)同法二四条一項の規定によると選挙人でなければ異議の申出をすることができないとされていることからすると、右「異議申出人又は関係人」は、選挙人、すなわち公務員を選挙する権利を有している者でなければならない、(三)同法九条の規定からすると、日本国籍を有しない限り選挙人になることはできない、(四)原告らは、日本国籍を有しないのであるから、選挙人になることはできず、選挙人名簿の登録に関する訴訟も提起することができない、と主張する。

原告らは、後記のとおり、日本国籍を有しないが選挙人となることができるのであるから、本件訴訟の原告適格を有すると主張する。

2 本件訴訟に訴えの利益があるか。

被告らは、(一)公職選挙法二五条に規定する選挙人名簿の登録に関する訴訟で争うことができる「選挙人名簿の登録に関する不服」は、同法二一条一項所定の選挙人名簿の被登録資格の有無に限られる、(二)原告らは、日本国籍を有しないのであるから、同項所定の選挙人名簿の被登録資格を有しないことは明白であり、また、原告らが主張するような公職選挙法の規定が憲法に違反した無効のものであること等の事由をもって右訴訟を提起することはできない、(三)したがって、本件訴訟には訴えの利益がない、と主張する。

原告らは、選挙人名簿の登録に関する訴訟で争うことができる事由は、同法二一条所定の選挙人名簿の被登録資格に限られるものではなく、選挙人である者が選挙人名簿に登録されていない場合には、右訴訟で争うことができると主張する。

(本案)

原告らは、地方公共団体に関する選挙について、選挙権を有するか。この点に関する双方の主張の要旨は次のとおりである。

1 原告らの主張

(一) 原告らの立場、生活実態

原告らは、いずれも日本で生れ、日本で教育を受け、日本の社会に生活の本拠を置いてきた。原告らは、日本語の能力についても、日本人と何ら異なるところはなく、生活を支える資産も日本において保有しており、租税その他公共生活における負担も、日本人と異ならない。原告らは、韓国には、親族はもとより友人もおらず、韓国語の理解力は、一般の韓国人にはるかに及ばない。このような原告らの生活は、将来においても変わることはない。また、原告らあるいはその父祖らは、日本国籍保持者であったところ、第二次大戦後、日本国籍を喪失したものである。

(二) 憲法上の「国民」概念

日本国憲法前文の規定には、全世界、全人類的な民主主義及び人権・平和保障を承認し、かつその実効性確保を国家目標とし、その目標を達成するため、日本国の領域においては日本国が責任分担として民主主義及び人権・平和を保障し実効あらしめるという思想が表わされている。そして、その思想から、地球上にいる人は、どこか一箇所で、自分の属する地域の政治に参加すべきであるとの原則が導き出される。右の「どこか一箇所」とは、参政権の性質上、その人が定住している地域でなければならないのであるから、憲法一五条等の「国民」には、当然に日本国内における定住者が含まれることになる。

(三) 憲法九三条二項所定の「住民」概念

地方政治レベルの参政権は、限定された地域共同体において、共同生活上の利害関係について共同決定するという趣旨からして、当該地域の住民、すなわち、定住者に限らず「居住者」に与えられるものであり、憲法九三条二項所定の「住民」も、このような概念と解すべきであって、このことは、地方自治の本旨(憲法九二条)の根幹というべきである。

(四) 地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項所定の「日本国民」

地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、地方公共団体に関する選挙の選挙権を有する者の要件として、「日本国民」であることを挙げているが、右(二)の憲法上の「国民」についての解釈及び右(三)の憲法九三条二項の解釈からすると、右「日本国民」には、日本国内における定住者が含まれなければならない。したがって、右「日本国民」を、日本国籍を有する者と限定的に解したのでは、右の各条は、憲法(一四条、一五条、九二条、九三条等)に違反することになる。

(五) 右法条の原告らへの適用

右(一)で述べたところからすると、原告らが日本国内における定住者であることは明らかであり、原告らは、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項所定の「日本国民」にあたり、原告らは、地方公共団体に関する選挙について、選挙権を有する。当該国の国籍を有しない外国人に、地方公共団体に関する選挙について、選挙権を与えることは、諸外国の立法例でも、少なからず見受けられるところである。

2 被告らの主張

(一) 憲法一五条一項にいう公務員の選定罷免権は、国家の存在を前提として初めて成立する権利であり、国家の機関受託者としての法的地位を有する者のみに与えられるところ、同条同項は、権利の主体として、国民と明記しており、さらに、選挙権が憲法前文及び憲法一条の国民主権の原理から導かれるものである以上、日本国民のみに与えられるものである。そして、日本国民の要件については、憲法一〇条の規定により、国籍法で定まっているのであって、日本国籍を有しない者を日本国民と解する余地はない。

(二) 地方公共団体は、国民主権の枠組みの中で、地域社会の公共事務を自ら処理する機構として存在しているのであって、憲法九三条二項にいう「住民」は、憲法一五条にいう「国民」を当然の前提としており、日本国籍を有する者に限られる。地方の政治、行政と国の政治、行政は、相互に密接に関連し、それぞれ責任を分担して政治、行政を行う仕組みとなっており、地方における政治的意思決定は、国における政治的意思決定と不可分の関係にあり、また、我が国では、地方公共団体の多くが国の事務を処理しているのであって、国と地方で、選挙権について別異の取扱いをすることはできない。

(三) 外国人に、地方公共団体に関する選挙について、選挙権を与える国が現れてきていることは事実であるが、それが世界の趨勢であるということは到底できない。

第三争点に対する判断

一本案前の主張について

1  公職選挙法二五条に規定する選挙人名簿の登録に関する訴訟は、同法二四条二項の規定に不服がある異議申出人又は関係人に限り提起することができるところ、同法二四条一項の規定によると、右異議の申出をすることができる者は、「選挙人」であり、また、異議の申出をすることができる事由は、「選挙人名簿の登録に関する不服」とされている。同法二四条の異議申立ての制度は、選挙人名簿の被登録資格を有する者が選挙人名簿に登録されていない場合、あるいは、選挙人名簿の被登録資格を有しない者が選挙人名簿に登録されている場合に、これらを是正することを目的とするものであり、「選挙人名簿の登録に関する不服」の対象及びその審理の対象も右の事由に限られるものと解される。そして、これを前提とする限り、選挙人名簿の被登録資格、すなわち選挙権を有していると考えているにもかかわらず選挙人名簿に登録されていない者は、正に右「選挙人名簿の登録に関する不服」の申立てをして、これを是正することを求めることができるのであり、したがって、前記異議の申出をすることができるとされている「選挙人」の要件としては、その者が現に選挙権を有していることまでの必要はなく、選挙権を有していると主張している者であれば足りるというべきである。

2 選挙人名簿の被登録資格は、同法二一条一項に規定されているのであるから、右「選挙人名簿の登録に関する不服」は、同項所定の被登録資格の有無に関するものとなるということができるところ、原告らの主張は、右第二で摘示したとおり、原告らが公職選挙法上の「日本国民」にあたると主張するものであつて、同法二一条一項所定の被登録資格を有すると主張するものであるから、右「選挙人名簿の登録に関する不服」を理由としているということができる。なお、原告らは、日本国籍を有しないのであるから、住民基本台帳に記録されていないことが推認されるのであるが、原告らの主張は、原告らが公職選挙法上の「日本国民」であり選挙権を有することは、憲法上の要請であり、住民基本台帳に記録されていないというような手続的な理由のみで、同法二一条一項所定の被登録資格を有しないとすることはできないと主張しているものと理解することができるのであって、原告らの主張は、右「選挙人名簿の登録に関する不服」を理由としているということができる。

よって、被告らの本案前の主張は、いずれも理由がない。

二本案について

1  各国の立法の状況

〈書証番号略〉によると、次の事実が認められる。

(一) 今日、国家レベルの選挙権を、一定期間の居住要件のみで、外国人に認めている国は存しない。

(二) 地方自治体レベルの選挙権を、一定期間の居住要件のみで、外国人に認めている国としては、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、オランダ、アイルランド等がある。これに対し、アメリカ合衆国、フランス、イタリア、ベルギー、ルクセンブルグ等では、地方自治体レベルの選挙権を外国人に認めていない。旧西ドイツでは、一部の州で、自治体レベルの選挙権をドイツ国籍を有しない外国人に認める立法がされたところ、一九九〇年一〇月三一日、ドイツの連邦憲法裁判所は、右立法は、基本法に反し、無効であるとの判決をした。なお、ドイツは、国籍について、血統主義を採用している。

2  憲法一五条の「国民」について

(一) 日本国憲法前文は、国民主権の原理は、「人類普遍の原理」であり、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。」、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等の関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」と述べており、国民主権、平和主義、国際協調主義等の憲法の基本原理を明らかにしている。しかしながら、日本国憲法前文は、右の基本原理を明らかにしたにとどまり、そのことから、直ちに、地球上にいる人は、どこか一箇所で、自分の属する地域の政治に参加すべきであり、右の「どこか一箇所」とは、その人が定住している地域でなければならないとの原則が導きだされるものではなく、前記認定の各国の立法の状況からみても、そのような原則が、国際的に一般に承認されているものとも認められない。したがって、右原則の存在することを前提として、憲法一五条の「国民」には、当然に日本国内における定住者が含まれることになるとの原告らの主張を採用することはできない。

(二)  憲法一五条一項は、基本的人権の一つとして、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と定めているが、基本的人権の保障は、権利の性質上、日本国民のみをその対象としているものを除き、日本国内に居住する外国人にも及ぶものであることはいうまでもない(最高裁昭和五三年一〇月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁参照)。

ところで、右公務員を選定し、これを罷免する権利(参政権)は、他の基本的人権のように、人が人として生まれた以上、何人といえども当然にこれを保障されるものとは、権利の性質を異にする。すなわち、参政権は、それが成立するためには、まず国家の存在することがその前提として必要であり、右国家の政治に参加する権利(及び義務)は、その権利の性質からして、その国家を構成する者に当然帰属すべきものである。

したがって、参政権を保障されるためには、その者が国家を構成する一員であることが必要というべきであるが、現実に右国家を構成する者のうち、どの範囲の者にこれを与えるか、また、右権利を行使する形式をどのようなものにするかなど、右権利の具体的内容は、正に国家の基本法である憲法において決められるべきことである。

そこで、日本国憲法の規定を見るに、右のとおり、憲法一五条一項は、公務員を選定罷免することは、「国民」固有の権利であるとしているところ、これは、前記(一)で述べたとおり、憲法の基本原理の一つである国民主権の原理に基づくものであるが、他方、憲法一〇条は、「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」と規定して、具体的にどの範囲の者を「国民」とするか、その要件については法律に委ねており、これを受けて、国籍法が日本国民たる要件を定めている。もちろん、法律である国籍法において、日本国民たる要件を全く自由に定めることができるものではなく、それは憲法の各条項及び基本原理と調和するものでなければならないが、現行の血統主義を基本とする国籍法には、憲法の各条項及び基本原理と調和しない点があると認めることはできない。

以上によれば、憲法一五条一項により参政権を保障されているのは、「国民」、すなわち「日本国籍を有する者」に限られるのであり、右以外の者、例えば定住外国人には、憲法上、公務員を選定、罷免する権利、すなわち参政権は認められていないというほかはない。

3  憲法九三条二項所定の「住民」概念

憲法九三条二項は、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の「住民」が、直接これを選挙する、と規定しているところ、右地方公共団体についての選挙権も、国民主権の原理に基づくもので、憲法一五条の「国民」が選挙する公務員には、地方公共団体の長等の地方公共団体の公務員も含まれていると解されること、地方公共団体も国から全く独立して存在するものではなく、地方公共団体の政治、行政は、国の政治、行政と互いに関連しており、地方公共団体が国の事務を処理することもあることからすると、憲法九三条二項所定の「住民」を、憲法一五条の「国民」とは別個の概念としてとらえるのは適切ではなく、これを統一的に理解すべきであり、結局、憲法九三条二項が「住民」の文言を使用しているのは、地方公共団体の公務員については、特にその地域に居住する者により直接選出されるものであることを明らかにするためであると解するのが相当であって、憲法九三条二項の「住民」は、日本「国民」であることがその前提となっているというべきである。

4  憲法上、地方公共団体についての選挙権を保障されている者

右2、3で述べたところからすると、日本国民、すなわち日本国籍を有する者については、憲法で、地方公共団体についての選挙権が保障されているということができるが、日本国籍を有しない定住外国人については、右権利を憲法が保障していると認めることはできない。

確かに、日本国民と同じようにその地域社会の重要な構成員として、これを維持発展させるのに大きな貢献をしてきたと自負している定住外国人にとって、国益を巡って諸外国と利害が対立する場合に、日本の国家意思を確定し、これに基づき諸外国との外交を直接担当しなければならない国政、すなわち政府レベルの政治への参加はともかくとして、その行政機能の内容も地域住民生活の福祉を図ることを直接の目的とするものが多く、また、国政のそれと比べると政治的色彩も薄い地方公共団体の政治・行政についてさえ、これに参加する機会が与えられていない現実は不当にすぎるとの意見が出てくるのも一面もっともなことと考えられないではない。しかし、すでに説示してきたとおり、少なくとも憲法上は右のような外国人に対しても右参政権は保障されていないといわざるを得ないし、また、仮に右の者に参政権を付与することが憲法に違反しないとの立場を採り得るとしても、これを付与するか否かは立法政策の問題にすぎないというべきである。

5  憲法一四条との関連について

憲法一四条は、すべての国民は、法の下に平等であると規定している。この規定は、その性質上、特段の事情の認められない限り、外国人に対しても類推されるべきものであるが、右のとおり、憲法上、日本国籍を有しない者については、そもそも選挙権が保障されていないのであって、日本国籍を有しない者について、選挙権を認めないからといって、そのことが右規定に違反するということはできない。

6  地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項所定の「日本国民」

地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、地方公共団体に関する選挙の選挙権を有する者の要件として、「日本国民」であることを挙げている。原告らは、右「日本国民」には、日本国籍を有しない日本国内における定住者も含めなければならないと主張するが、原告らが右主張の論拠とする憲法の解釈を採用することができないことは、すでに述べてきたとおりである。

7  原告らへの適用

〈書証番号略〉、証人田駿の証言、原告金炫本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、(一)原告らの立場、生活実態は、前記第二の三(本案)1原告らの主張(一)「原告らの立場、生活実態」に記載のとおりであること、(二)原告ら在日韓国人は、地方自治体に対して要望書を提出するなどして、参政権を獲得する運動をしていることが認められる。しかし、右事実があるとしても、すでに述べたところから明らかなように、原告らは日本国籍を有しない以上、選挙権を有せず、原告らを選挙人名簿に登録しなかったことに違法な点はない。

(裁判長裁判官福富昌昭 裁判官森義之 裁判官氏本厚司)

別紙決定目録一ないし一一〈省略〉

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